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 校門のところで南条くんの帰りの車を見送り、ふぅーとため息をはく。


 長かった初日も、なんとか無事終了。

 おつかれ、わたし!


「今朝は大活躍だったねえ」

 突然背後から声をかけられ、びくんっと小さく肩が跳ねる。

 おそるおそる振り向くと、にこにこ笑顔の警備員さんが立っていた。

 胸元には、『和田』という名札をつけている。


「な、なんのことですか?」


 ひょっとして、今朝の事故のこと、覚えてるの?

 圭斗の心操術が効かなかった……?


 たらりと冷たい汗が背中を伝う。


 そうか。きっと、わたしと南条くんのキスには興味がなかったから。

 それで、かからなかったんだ。


「木の上からぴょーんって飛んで、まるで忍者みたいな見事な身のこなしだったよね。あ、さすがに令和の時代に忍者なんていないか」

 そう言って、あはははと笑う和田さん。

「そうですよー。なにかの見間違いですってばー」

 わたしもあはははと無理やり笑って返す。

「それにしても、あれだけの大事故だったのに、ケガがなかったみたいで、本当によかったねえ」

「で、ですよねー。わたし、昔から運だけはいいんですよー」


 悪い人ではなさそうだけど……心の中でなにを考えているのかよくわからない感じで、なんだかちょっと苦手なタイプだなあ。