そうだよね。普通に考えれば、南条くんと星山さんは、学校イチのベストカップル間違いなしだもん。

 なのに、わたしみたいな田舎者の地味子が突然南条くんの彼女だなんて言われたって、誰も納得するわけがないよ。


「でもさ、王子が選んだ相手なら……わたしは涙を飲んで祝福する」

「そうよね。推しの幸せが一番」

「それでこそ、ファンクラブ会員の鏡だわ」


 あ、あれ? なんだか、思ってた展開と違う方向に進みはじめてる……?

 そういえば、グサグサ視線が刺さるって思ってたけど、なんだか温かい目で見守られているような気がしないでもないような……。


 普通なら、どこに行っても睨まれたり、教科書を隠されたり、校舎裏に連れ込まれて『どういうつもり? あんた、自分が地味子って自覚ある?』なんて迫られたりしてさ。

 そういうのが、少女マンガなんかの王道展開じゃない?


 なのに、こんなふうに祝福されたり、温かい目で見守られたりすると、逆に本当にみんな南条くんのことを想っているんだなって思い知らされて。

 こんなの……ウソをついているのが、申し訳なくてたまらなくなってきちゃうよ。