多少詩乃に思い入れが強すぎる気もするが、そうであるが故に、アイツのことは信頼してる。

 入学式の朝の犯人も、秒で捕まえてくれたしな。

 詩乃を傷つけられたせいだと思うけど、殺気がヤバくて、ある意味ヒヤヒヤしたけど。


 でもまあ、俺の護衛には間違いなく危険がつきまとうから、あのくらいのヤツがいてくれた方が、俺としては安心できる。


 そんなに危険な任務なら、詩乃を護衛として雇うなって?

 しょうがないだろ。詩乃に近づくには、これしか方法がなかったんだから。


 詩乃にはじめて会ったあの日、「あの子の居場所を突き止めてくれ」って周囲の人間に頼んだんだが、誰一人手がかりすら見つけられなかった。

 今思えば当然だよな。忍びの里なんて、そんな簡単に見つかるわけがなかったんだ。


 中学は、学校に通わないと卒業させられないと学校側に言われ、裏ルートを使って護衛を探してもらっていたときに、偶然詩乃を見つけたんだ。

 いや、実際本人に会えたのは、入学式の日の朝がはじめてだったが、俺と同い年の護衛だと聞いて、ひょっとしてと思っていたんだ。


 事故でぐったりしたアイツを見たとき、あの五年前に会ったがんばり屋な女の子の面影を詩乃の中に見た。

 本当は、詩乃が目覚めるまで心配で心配で、俺の方が死にそうだったのに、目覚めた詩乃と目が合った瞬間、思ってることと逆の言葉しか出てこなかった。


『あんた、一応プロなんだろ? だったら、あのくらい無傷で避けられなかったわけ?』