「父さんとの電話の暗号がバレてたらマズいなって思ってたけど、そんな心配をする必要はなかったみたいだね。あんた、さっさと忍びから足を洗って正解だよ」


 圭斗、辛辣!

 でも、なんにも気づいてなかったわたしは、まだ忍びを名乗っていても大丈夫なんでしょうか?


「大丈夫。詩乃にはまだ誰もそこまで期待してないから」


 グサグサッ。


「あはは、ありがとう……」


 なにお礼言ってんの、わたし。


「ま、今回の作戦の一番の肝は、『疑うことを知らない詩乃の存在』だったからね。和田さんのウソに素で気づいていない詩乃がいたからこそ、こっちの作戦もバレずに済んだ。お手柄だよ、詩乃」


 これ、絶対に喜んじゃいけないヤツだ。

 くそう。いつかきっと圭斗にぎゃふんと言わせてやる……!


「で、南条のこと、早く解放してやった方がいいんじゃないの?」

「そ、そうだった! ごめんね!」


 いろんな新事実に驚きすぎて、すっかり忘れてたよ。