「圭斗は、わたしの護衛だから。絶対に来てくれるって、信じてた」

「こういう行き当たりばったりな作戦は、どうかと思うよ。もし失敗してたら、みんな死んでたんだからね。勘弁してよ」

「でも、これで全部取り戻せた。和田さん、そろそろ覚悟してください」

「くそっ……くそ、くそ、くそーっ!!!!」

 敗北を察した和田さんが、わたしたちを突き飛ばし、詰め所の扉を勢いよく開ける。

「あ、言い忘れてたけど、この建物は警察に完全に包囲されてるから」

「なっ……!」

 和田さんが、建物から一歩出たところで逃げられないと悟ったのか、へなへなとへたり込んだ。

「和田さん、もうちょっと上手にウソはつかないと、誰もダマせませんよ?」

 圭斗が、ニコリとほほえむ。

「えぇっ⁉ じゃあ、最初から和田さんがウソをついてるって、気づいてたの⁇」

「僕を誰だと思ってるの? このくらいのウソが見抜けないようでは、諜報員としての仕事なんて請け負えないよ」


 さ、さすが。この歳で、すでにいくつもの任務を完遂しているだけのことはある。