ふんわりウェーブのかかった茶色っぽい髪に、キラキラした二重の大きな目が印象的。

 この学園の女子はどの子もかわいいって思っていたけど、星山さんに見つめられたら、女子のわたしでもドキッとしちゃうくらい。

 南条くんのもう一人の幼なじみの星山さんは、全国に高級リゾートホテルを持つホテル王の一人娘。

 由緒正しい家柄の子が多く通うこの学園内でも、この幼なじみ三人組が目立つ存在であることは、間違いないだろう。


 そんな南条くんの爆弾発言直後、先生が教室に入ってきて、入学式会場の講堂へと移動を開始することになった。


 ねえ、ちょっと待ってよ。

 さっきの爆弾の説明、まだ聞いてないんだけど。


 っていうか、視線! 全女子からの視線が突き刺さってるから!!

 わたし、これでも忍びだよ?

 空気みたいに、ひっそりこっそりお守りする予定だったのに。

 いきなりこんなふうに注目されることになるなんて、想定外すぎるんですけど⁉


 ちなみに、入学式で新入生代表あいさつをしたのは、南条くんだった。

 毎年、初等部からの進級テストで、トップの成績の人がやることになっているんだって。


 すごい……。この学校、家柄だけじゃなく、偏差値だってかなり高いのに。


 そして、大勢の視線を一身に浴びるこの状況においても、一切物怖じしない南条くんの堂々とした立ち居振る舞いに、みんなの視線は釘づけ。

 すっかり声変わりを終えた低く心地よく響く声に、わたしも思わず耳を奪われた。