みんなの安全を守ってくれる、かっこいい警備員さんだって思っていたのに。

 忍びなんかじゃなくても、和田さんは同志だって思っていたのに。


 悔しくて、ぎゅっとくちびるを噛みしめる。


 ううん。今わたしがすべきなのは、感傷に浸ることじゃない。

 あの爆弾を、安全に回収することだ。


 ささっと詰め所の中を確認する。


 入ってすぐ左側に小さな流し台があって、電気ケトルがシューシュー音を立てている。

 すぐ下のゴミ箱の中には、大量のカップ麺の空き容器。

 扉の右側の壁には、当番表兼報告書を挟んだバインダーが掛けてある。

 細かい丁寧な文字で、小さな異常も逃さず報告書に書き込まれている。


 本来の和田さんは、きっとこういう誠実な人なんだ。

 だから、なおさら悔しい。どうしてこんなことを……。