「全然よくないよ! だって、わたしのせいで、南条くんが連れ去られちゃったんだよ⁉」

「でも、彼が自分の意思で詩乃のそばを離れたのなら、詩乃の責任は問われないよ」

「そうじゃなくて! 早く南条くんを探さないと、彼の命が……」

「この場ですぐに殺されなかったっていうことは、今回は彼の誘拐が目的なんだろうね。つまり、ほしいのは彼の能力だ。命を取られることはまずないよ」

 圭斗の言葉にハッとする。

「圭斗、ひょっとして南条くんの能力のこと、知ってるの?」

「知ってるよ。この任務を引き受けたときに聞いた」

「そ、そうなんだ……」


 わたしはあの遊園地のときまで知らなかったのに、どうして圭斗にだけ?


「護衛の護衛の依頼を受けるなんてはじめてのことだったから、それ相応の理由があるんだと思ってね」

「……?」


 護衛の護衛って、どういう意味?


「僕の今回の任務は、彼の護衛じゃない。君を守ることだ。彼が誘拐された場合、君の護衛の任は解くようにと言われている」

「え、ちょっと待って。今、なんて……?」

「だから、君の任務はここで終了ってこと」

「それもだけど! わたしを守るのが任務……って」

「依頼人は、もちろん彼、南条蒼真だよ」

「どうして南条くんが、わたしに護衛なんかつけるの? 意味がわからないんだけど」


 わたしの護衛が、そんなに不安だったってこと?

 いや、違う。それなら、自分自身に二人護衛をつければいいだけの話だ。

 わたしの護衛をさせる意味がわからないよ。