大学進学をあきらめ、あちこち就職先を探しているときだった。高校近くの駅前で「あなたの広告会社」と看板のかかった三階建ての建物を見つけた。小さな会社なのは間違いない。けれども何だか気になって尋ねてみた。
受付に大橋社長がわざわざ出てきて、応接室に案内してくれた。
「ここは大きな会社ではありません。街角を見てごらんなさい。埋もれている素晴らしいお店や会社がある。その人たちが世の中に知られるようにお手伝いをするのだから、これくらいの大きさがちょうどいいのですよ」
広告マンらしくないロマンスグレーの紳士が穏やかに笑った。
「お願いです。私にもお手伝いさせてください」
恭子は思わず、ソファから立ち上がっていた。
それから十一年。今、恭子は営業企画部第一グループ主任である。自分の店、会社に誇りを持っている人たちの表情が好きだ。その人たちを応援したい。それは恭子がいつも考えていること……。
だが……。
受付に大橋社長がわざわざ出てきて、応接室に案内してくれた。
「ここは大きな会社ではありません。街角を見てごらんなさい。埋もれている素晴らしいお店や会社がある。その人たちが世の中に知られるようにお手伝いをするのだから、これくらいの大きさがちょうどいいのですよ」
広告マンらしくないロマンスグレーの紳士が穏やかに笑った。
「お願いです。私にもお手伝いさせてください」
恭子は思わず、ソファから立ち上がっていた。
それから十一年。今、恭子は営業企画部第一グループ主任である。自分の店、会社に誇りを持っている人たちの表情が好きだ。その人たちを応援したい。それは恭子がいつも考えていること……。
だが……。