「約束してくれたこと、嬉しかった……。それだけで私…………」



澪の目が。

力なく、ぼんやりして。

真っ暗闇になってしまった。




「……澪?」



呼んでも、澪は反応しない。



「澪、待って。いかないでっ」



澪の手がだらんと垂れる。



「待って、いかないで……!」



涙で、グショグショに濡れた顔を。

澪の首元に埋める。



「待って……、そばにいて」



涙が溢れて。

オレの視界から現実が消えた。



目を閉じれば。

いつかの、澪がいる。

オレに向かって、笑いかけてくれる。






「どこにもいかないで……」










虚しく。

情けない声が。

オレ自身の心に、引っかき傷みたいに残った。














黙って見ていた捜索隊の内のひとりが、
「連れて帰ろう」
と、呟いた。



「高浜くんを、村に連れて帰ろう」



澪を抱きかかえているオレに、疋田さんが近寄って来た。



「帰ろう、高浜くん。お母さんが心配しているから」