井村(いむら)さん!!!」



捜索隊の人達が叫ぶ。



「てめぇっ!! よくも井村さんを!!!」



若い男性が、猟銃を、澪の母親に向けた。



「待て! 疋田(ひきた)!! それじゃあ、井村さんの二の舞だ!!」



疋田と呼ばれた男性は、怒りで体が震えている。



「おやおや、私が怖いの? お兄さん、あんた、ちょっとは美味しそうじゃないか」
と、澪の母親はニヤニヤしつつ、疋田さんを見つめる。



「さっきのオヤジは骨張っててねぇ。味もイマイチだったからねぇ」



ぺっと床に唾を吐いた澪の母親。

オレを見て、
「坊や、あんたはデザートにするよ。いちば〜ん、美味しそうだからね」
と、お腹をさする。



澪は泣きながら、でも、もう何も言わない。






「化け物がっ!! オレ達を甘く見るなっ!!」



捜索隊のひとりが、そう叫んで、
「オレの息子を!! お前らは食べたのか!?」
と、疋田さんの後ろから猟銃をかまえた。