「生ぬるいことを言っているんじゃないよ!! 何がつらい目だ!! 坊や、あんただってわかっているんだろう?」

「……」

「あんたが後ろに庇っているその子だって、私と同じなんだよ!! 可愛い少女の皮をかぶった、山姥なんだ!!」

「……」

「可愛い顔に騙されているんだよ、坊や! その子だってシワシワの、私とおんなじ、山姥なんだから!!」

「それでも!」
と、オレは言った。



「それでも、オレは……! 一緒にいたいって思っているんだ!」



澪の母親はお腹を抱えて笑い、
「あはははっ!! おっかしー!! 一緒にいたい!? 坊や、バカも休み休み言いな!!」
と、オレを指差す。



「その子と共に生きられるとでも思っているの? あんた、いつか澪に食べられてしまうんだから! 空腹をずっと我慢なんて、出来っこないんだ!!」

「!」

「坊や、自分を食べるかもしれない女と、あんたはずっと一緒に生きられるの? ずっと好きでいられるの?」