リビングで母さんと呆然としていたら、
「えー? 何ー? また失踪者〜?」
と、姉貴が伸びをしつつ、現れた。



「マジで何かあるよね、この村」



そう呟いた姉貴と、そばにいるオレを順番に見て、母さんは言った。



「あんた達は大丈夫だよね?」

「え?」

「お母さんに黙って、どっかに行ったりしないよね?」



姉貴が笑って、
「何言ってんのよ、お母さんは心配しすぎ!」
と、明るく返したので、母さんはホッとしたように見えた。



「絶対にいなくならないでよ。お母さん、そんなの耐えられないからね」






坂東くんが見つからないまま、月曜日を迎えた。

学校では坂東くんの話でもちきり。

ふたりも失踪者が出ているからか、全校集会が開かれた。



体育館のステージの上。

校長先生が厳しい顔つきで、
「どこかに出かける時は、必ず保護者のかたに行き先を知らせましょう。何か、悩みがあったり、話したいことがあれば、いつでも周りの人に打ち明けていいんです」
と、話している。