二年一組で、相変わらずオレはひとりでいる。

みんなからチヤホヤされていた佐田さんも、最近はひとりでいることが多くなっていた。



女子達の間で佐田さんは、美人を鼻にかけているなど、悪口を言われているみたいだった。

『可愛いからってさー』と、ヒソヒソ話している現場を、オレも見たことがある。



(だからって、オレに何が出来るんだろう?)



佐田さんに話しかけることくらいしか思い浮かばなくて。

でも、そこまで勇気も出なくて。



(オレってマジで臆病だよな)



自己嫌悪の毎日を過ごしていた。






ある日の放課後。

学校からの帰り道。

バス停のベンチに座る佐田さんを見つけた。



隣に誰かいる。



(誰?)



ベンチに近づいていくと、隣のクラスのイケメンだとわかった。



確か……、坂東(ばんどう)くんって名前じゃなかったっけ?



生徒数も少ないから、隣のクラスの奴だって顔くらいは知っている。

でも、元々友達が少ないオレは、目立った人しか名前まで覚えていない。