「澪……、久しぶり」
声をかけて。
目を閉じ、手を合わせた。
「オレ、大学生になったよ。オレなりに頑張っている。……今さ、学校の先生になるための勉強をしているんだよ」
返事は返ってこないけれど。
オレは声に出して続ける。
「少しでもさ、オレや、駒澤くんみたいな生徒の力になれたならいいなって思ってるんだ」
夏の生ぬるい風が吹いた。
オレの前髪が揺れる。
目を開けて、
「頑張るから、応援しててくれよ」
と、澪と駒澤くんに向けて語りかけたその時。
澪のお墓が。
ゴトッと音を立てた。
「!?」
驚いて、一瞬オレの動きが止まった。
(何かの勘違いかな?)
そう思って。
オレはお墓に背を向けて。
その場から離れようとした。
「……いで」
「?」
何か。
声が、聞こえた。
(まさか)
背中に冷たい汗が流れる。