あの出来事から、一ヶ月が経った。



日中はまだ暑い日も多いけれど。

朝晩が涼しくなってきて。

夕方には秋の虫の声が聞こえる。



村に戻って、日々を過ごしている中で。

オレのことを変な目で見る人が多い。




バス停で並んでいると。

そばのゴミ捨て場で、いつものおばさん達が、「高浜さん家の滉くん、行方がわからなかった時にどこにいたかと思えば、山姥の山小屋にいたらしいのよ」
と、オレをチラチラ見ていた。



「本当なの?」
と、半信半疑な人もいれば。



「山姥の山小屋で何をしていたのかな」
と、信じている人もいる。



じっと見られて居心地が悪く、チラッと視線をやると、おばさん達は慌てて解散し、そそくさと帰って行った。



「有名人だね」
と、オレの後ろに立っていた男子が呟いた。



「えっ」

「あ、ごめん。オレ、隣のクラスの田嶋(たじま)

「た、高浜です」