……ううん。

オレのためだったのかもしれない。

今さっき起きた出来事を。

自分の中で整頓することが出来たような気がした。



澪のお墓に手を合わす。



……ありがとう。



心の中で。

オレが一番に、澪に思うことは。

感謝の言葉だったことに、なんとなく驚いた。




(ありがとう、澪。……オレのこと、助けてくれたんだよね?)



あの時。

澪が、疋田さんの銃で撃たれる少し前。



『……もう、こんなの嫌!!』
と、澪が怒鳴って。

オレの背中を押して、自分の前からどけたのは。



オレを守るためだったんじゃないかって、思うんだ。



ごめんね。

オレが守ってあげられたら良かったのに。



ありがとう。

オレの命を守ってくれて。






「さぁ、帰ろうか」
と、疋田さんが言った。



オレは頷き、立ち上がる。




山小屋から離れる時。

澪がいるような気がして。

そっと振り返ってみる。