「て、手伝ってくれるんですか?」
「おぅ。きちんと弔ってやったら、村に帰ろうな」
「……はい」
すると坂東くんのお父さんが、
「オレも手伝う」
と、口を開いた。
「えっ!?」
と、捜索隊の人が驚く。
「息子が、こいつらのお腹の中にいると思うんだ。だから、息子のために、こいつらを弔うよ」
「坂東さん……」
「決してあいつは、立派な人間じゃなかったけれど」
と、坂東くんのお父さんが涙目で言う。
「……でもオレにとっては、かけがえのない息子だったんだ」
捜索隊の人達が頷く。
「そうだ、井村さんだってここにいるんだ」
「みんなで弔おう」
坂東くんのお父さんはオレを見つめて、
「親は子を失いたくない。高浜くん、ちゃんと帰って、お父さんお母さんに『ただいま』って言ってやんな」
と、涙に混じった声で言った。
澪と、澪の母親の遺体を、山小屋の裏に埋めた。
かなりの重労働だったけれど、澪のために力が出た。