「で、でも、オレ……」



疋田さんはオレの肩に手を置いて、
「きみのお母さんは、きみが帰って来ないって言って、心配して泣いていた」
と、話し始める。



「もう帰って来る時間なのに、おかしいって。学校にも問い合わせていたみたいだけど、偶然山に入っていく姿を見たっていう話を耳にして、オレ達捜索隊に連絡をしてくれた」

「……」

「お母さんのことを安心させてあげなよ」

「……でも、澪が」



オレは澪から離れられない。



「この子の名前を知っているんだな。……わかった、高浜くん」



疋田さんは坂東くんのお父さんを見て、
「弔ってやります」
と、伝えた。



それを聞いた捜索隊の人達は、
「何言ってるんだ、そいつは人喰いだぞ」
なんて言って、
「そうだ、そこまでする義理も何もないぞ……!」
と、信じられないという表情で疋田さんを見る。



「オレと高浜くんでやります」
と、疋田さんは言った。



オレは疋田さんを見た。