「分かってる。だけど、不安なんだ」


 でもその後悔と天秤にかけられるくらい、高科さんを失いたくはなかった。


「朝倉らしくない」
「え?」
「お前はバカがつくほどお人よしで、無茶もするし危なっかしいけど、自分の言葉にはいつも真っすぐだろ。やりたいことやれよ」


 加賀美くんの言葉が強く背中を押した。


「なに、かっこいいじゃん」


 おどける未奈子に「お前なあ」と呆れたように言い返す。

 でも、この時ばかりは、私もかっこいいと思ってしまった。


「ありがとう、ふたりとも。なんか答え出せそうな気がしてきた」


 あと一週間、ちゃんと自分の中で答えを出そう。
 心に誓った。