そんな問に、なんて答えるのが正解なんだろう。コミュ力0の僕には難題すぎた。
「あ、えと…。散歩、してたら人影が見えてなんか、柵の内側にいる…気がして。気がついたら、その…声を」
しどろもどろになりながら言葉を絞り出した。上手くは話せなかったが、こんなに長い文を人に伝えたこと自体が久しぶりなのだから仕方がない。僕にしては頑張った方だ。
「…ふーん。じゃ、今日は辞めとくね」
先程より明るい声で柵に登りながらチカさんが言った。さっきの説明で、なぜ辞める気になってくれたのかは謎だが思い留まってくれて良かった。
「今日は諦めて、また明日かな」
僕の家がある方と反対側の出入口に歩き出しながら振り返らずに僕にそう言う。また、明日?って。
「辞めないの?」
つい声に出してしまう。納得してくれたように見えた彼女は、辞める気なんてなかったことを知ってしまう。
「辞めないよ今はね」
チカさんの透き通る声が響いた。チカさんは、未だに歩き続けている。僕はその場で動けずにいた。やがてチカさんの後ろ姿が見えなくなり、段々状況を飲み込めてきた時、僕も帰ろうと歩き出した。
「あ、えと…。散歩、してたら人影が見えてなんか、柵の内側にいる…気がして。気がついたら、その…声を」
しどろもどろになりながら言葉を絞り出した。上手くは話せなかったが、こんなに長い文を人に伝えたこと自体が久しぶりなのだから仕方がない。僕にしては頑張った方だ。
「…ふーん。じゃ、今日は辞めとくね」
先程より明るい声で柵に登りながらチカさんが言った。さっきの説明で、なぜ辞める気になってくれたのかは謎だが思い留まってくれて良かった。
「今日は諦めて、また明日かな」
僕の家がある方と反対側の出入口に歩き出しながら振り返らずに僕にそう言う。また、明日?って。
「辞めないの?」
つい声に出してしまう。納得してくれたように見えた彼女は、辞める気なんてなかったことを知ってしまう。
「辞めないよ今はね」
チカさんの透き通る声が響いた。チカさんは、未だに歩き続けている。僕はその場で動けずにいた。やがてチカさんの後ろ姿が見えなくなり、段々状況を飲み込めてきた時、僕も帰ろうと歩き出した。