私が作ったのはレンジを駆使した肉じゃがと味噌汁くらいで、メインは惣菜という簡単な夕食だったが、宗輔は満足そうだった。

「今度会う時は、ちゃんと作るから」

「別に頑張る必要はないさ。いや、佳奈に期待していないっていう意味じゃないからな。第一あんな短時間のうちに、普通に料理して出してくれたじゃないか。うまかったよ」

「あれは簡単だから……。でも、口に合ったようで良かった」

食後、お茶を口にしながら私たちは他愛のない会話をしつつ、ホットカーペットの上でくつろいでいた。

この後、宗輔は自分の部屋へ帰って行く。年末年始の休みの間、彼と一緒にいる時間が長かったせいか、分かってはいても寂しい気持ちになってしまう。

明日から仕事が始まれば、こんな時間はなかなか作れないかもしれない――。

そう思った時、宗輔が隣で大きなため息をついた。

「こんな風に佳奈と一緒にいられるのは、今度はいつだろうな」

宗輔も同じことを思ってくれたのかと、嬉しくなった。だからこんな言葉が自然に口をついて出た。

「もっとたくさん会えたらいいのに」

宗輔もまた嬉しそうに笑い、私を抱き寄せた。

「佳奈もそう思ってくれてるのか。あのさ……。俺の休みは不定期なところがあるけど、佳奈は決まって土日が休みだろ。佳奈さえ良ければだけど、週末は俺の部屋で過ごさないか。もちろん、俺を優先してくれなんてことは言わないし、毎週じゃなくていいから」

週末を宗輔の部屋で過ごす?嬉しい。でも……。

「自分がいない時間に私がいるなんて、嫌じゃないの?それに、自分の時間は?趣味だとか、友達と会うだとか――」

「趣味は適当に楽しんでるし、みんな忙しいからなかなか会えないけど、友達ともちゃんと連絡を取り合ってる。自分の時間だってそれなりに大事にしているよ。佳奈が気を遣う必要はない。それに、家に帰ったら君がいるなんて最高に決まってる。それともまさか、佳奈は断る理由を探しているのか?」

「そ、そうじゃなくて。迷惑じゃないかなと思ったから……」

宗輔は私をぎゅっと抱き締めた。

「迷惑なんて、そんなわけないだろ。本音は毎日でも一緒にいたいんだから。それに俺としては、佳奈がうちに来てくれた方がいい」