「なにを言って…。おれはそんなこと…!」

「とにかく、わたくしを巻き込まないでちょうだい。あなたはクビよ!次からは、もっと優秀なボディガードをつけるわ」


沙理奈ちゃんは、江口くんを睨みつける。


「昴様、わたくしの“元”ボディガードが勝手なことをしてしまい、大変申し訳ございませんでした。この者の処分は、お好きなようにどうぞ」

「…お待ちくださいっ、沙理奈様…!!」


沙理奈ちゃんに向かって、目一杯手を伸ばす江口くん。

しかし、沙理奈ちゃんが振り返ることはなかった。


「だれかの指図だったとしても、俺たちは命令を聞くだけのロボットなんかじゃない。実際にそれを実行に移したのはお前だ」


昴くんの言葉に、自分の行いの愚かさに気づいたのだろうか。

江口くんは悔しそうに唇を噛んだ。