それからも、わたしの私物がたびたびなくなることが発生した。


「アリス様、どうかしましたか?」

「…ううん!なんでもないよっ」


昴くんがなにかに気づきそうになると、わたしは慌てて笑ってごまかした。


わたしが星乃川学園に在籍するのは、1ヶ月だけ。

この1ヶ月さえ乗り切ればいいだけなんだから、大事にならないように今は我慢我慢。



――体育の授業終わり。

更衣室前では、着替え終わったお嬢様たちを出迎えにエスコート科の男子生徒たちが外で待機していた。


「アリスちゃん、お疲れさま!」


わたしの姿を見つけると、すぐに虹斗くんと慎太郎くんが駆け寄ってきてくれた。


「あれ?昴くんは?」


いつもなら3人いっしょ。

だけど、昴くんだけいなかった。


「ごめんね。昴は用事があるからって、オレたちにアリスちゃんのことを任せて先に行っちゃった」