「…えっ!わたし…!?」


思わず声がもれてしまった。


朗読に当てられなかったら、なんとかやり過ごせるかもと思っていたのに…。


「どうかしましたか?」

「えっと…、その……」


教科書がないことを言ったら、絶対廊下に立たされる…!

わたしはともかく、エリート警護部隊であるイージスが『廊下に立たされたコの護衛なんてしている』と笑われてしまう。


周りからは、女の子たちのクスクスという笑い声が聞こえる。


…やっぱり。

こうなるように、だれかがわたしの教科書を盗んだんだ。


「なにをしているのですか、佐藤さん」

「すみません…先生。実は――」


仕方ないけど、ここは正直に打ち明けるしかない。


――そう思っていたら。


「教科書なら机の上にあるでしょう。早く読んでください」