だけど、所々汚れていた。


「…アリスちゃん。この上履き…、そこのゴミ箱の中に入ってたんだ」

「ゴミ箱…?」


目を向けるとに、昇降口の隅に小さなゴミ箱が設置されていた。

わたしの靴箱からは距離があるし、上履きに足が生えて自分で歩いていかない限り、あんなところには入らないと思う。


「ゴミ箱に上履きだなんて…。もしかして――」

「…あっ、そうだ!」


なにかを悟った虹斗くんがつぶやいたから、わたしは慌てて話を遮った。


「昨日の帰り、雨が降り出して慌てて寮に帰ったよね?それで、片方だけ靴箱に入れ忘れたのかも!」

「だったとしても、ゴミ箱になんて入るわけないよね?」

「落ちてることに気づかなくて、みんな踏んだり蹴ったりしたんじゃないかな?それで、汚れた上履きをだれかがゴミと勘違いしてあの中に」