星乃川学園にきて10日がたった。


「…リ…さ、ア……スさま」


やさしくて柔らかい声が聞こえる。

心地よすぎて、ずっとこのままでいたい気分。


「…リス様、アリス様!」


その声にはっとして目が覚める。

目の前には、わたしを見下ろす昴くんの顔が。


「わっ…、わわわわわわ…!!…す、昴くん!」

「アリス様、おはようございます。なかなか起きてこられなかったので、お声かけさせていただきました」


レースのカーテンから透けて差し込む太陽の光よりも爽やかな昴くんの微笑み。

朝一からこんな爽快な昴くんの顔を間近で拝んだら、さっきまでの眠気も一気に吹き飛んでしまう。


わたしが寝坊すると、こうしてイージスのだれかが起こしにきてくれる。

これまで虹斗くんや慎太郎くんはあったけど、昴くんが起こしにきてくれたのは初めてだ。