「あーあ。昴くん、怒りすぎだよね?」


そんな声が聞こえて振り返ると、頭の後ろで手を組んで気だるげに口をとがらせる虹斗くんがいた。


「昴くんって真面目すぎるんだよね。ぼくだって健全な中1男子だよ?かわいいなって思った女の子にキスすることの、なにがいけないんだろう」


思わず、空いた口が塞がらなかった。


昴くんに叱られて、泣きながら反省をしていると思っていた虹斗くんだったけど――。

実はまったく反省していなかった…!!


どうやら、昴くんの前では猫を被っていたようだ。


本当の虹斗くんはまったく懲りてなんていなかった。


驚愕して固まるわたしのそばへやってきた虹斗くんは、わたしの肩をそっと抱き寄せた。


「アリスちゃん、気をつけてね。隙見せたら、すぐその唇にキスしちゃうよ?」