こんなかわいい子犬に、これ以上の仕打ちはできないよ。


「虹斗、次またアリス様に同じことをしたら…。わかってるだろうな?」

「も…もちろんです!リーダー!」


虹斗くんは姿勢を正して敬礼する。

それを見て、あきれたようにため息をつく昴くん。


そのとき、授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。


「アリス様。ここでお着替えができるように、制服を持ってまいります」

「わざわざありがとう」

「ですので、再び虹斗と2人になりますが…」

「大丈夫だよ。だから、昴くんは行って」


あれだけ昴くんに叱られた虹斗くん。

懲りずにまた手を出してくるばずがない。


わたしが笑って手を振ると、昴くんは申し訳なさそうにお辞儀をして出ていった。


「じゃあ、虹斗くん。わたしたちはしばらくの間――」