そんな情けない虹斗くんの声が聞こえて目を開けると、ベッドのそばで羽交い締めにされている虹斗くんの姿があった。

虹斗くんの背後から技をきめているのは――。


「…昴くん!」


そう。

飲み物を買いにいっていた昴くんだった。


それはまるで、颯爽と駆けつけたヒーローみたいでかっこよかった。


「アリス様、…ご無事ですか!?」

「う…うん…!」


心技体に優れたイージス同士でも、どうやら昴くんのほうが上のようだ。

虹斗くんは参ったと床をたたいてアピールしている。


そうして、昴くんの羽交い締めから解放された虹斗くん。


「虹斗。改心したと思ったのに、なにも変わってないな」


昴くんは、虹斗くんに鋭い視線を向ける。


「…すみませんでした」


虹斗くんは蛇に睨まれた蛙のように、肩をすくめておとなしく床に正座した。