「虹斗…くん?」

「もう…。その笑顔が反則なんだよ」

「…え?」


わたしがつぶやくと、唇を塞ぐようにして虹斗くんが人差し指をやさしく押し当てた。


「本当はね、初めて見たときから、アリスちゃんのこと…いいなって思ってたんだよね」


微笑むと虹斗くんの細くなった瞳がわたしを捉える。


「でも、ぼくはイージス。アリスちゃんのことは警護対象者として見ないといけないっていうことはわかってはいるんだけど…」


虹斗くんの手が愛おしそうにわたしの頬をなでる。


「アリスちゃんかわいいから、好きになっちゃいそう」


年下とは思えないどこか余裕がうかがえる笑みに、わたしの鼓動が速くなる。


い…今、わたしのこと…『好き』って言った?


「虹斗くん、からかうのはダメだよっ」


わたしは虹斗くんの胸板に手を当てて押しのけようとする。