…わたしはただのアリスちゃんのフリだけど。


「わたしはそんなことで怒らないから安心して。虹斗くんたちの護衛は完璧で、むしろすごいなって思ってるんだから」

「アリスちゃん…」

「だから、これからもよろしくね」


わたしは虹斗くんに笑ってみせた。


「…やばっ」


そうつぶやいた虹斗くんは、なぜか頬を赤くして顔を背ける。


「どうしたの、虹斗くん?」


わたしは虹斗くんの顔をのぞき込む。

すると、わたしを上目遣いで見つめる虹斗くんと目が合った。


――そのあとのことは、本当に一瞬で。


気づいたら、わたしはベッドの上に押し倒されていた。

目の前には、わたしに覆いかぶさる虹斗くん。


…あれ?

なに…この状況。


どうしてわたし、保健室で年下の男の子に押し倒されてるの…?