キョトンとするわたし。


すると、昴くんは丁寧にわたしの右足のダンスシューズを脱がせた。

と同時に、ジンとした痛みが走る。


見ると、くるぶしのところに血がにじんでいた。

どうやら、慣れないシューズで慣れないダンスを踊ったから靴擦れしてしまったようだ。


さっきまで緊張していたからか、自分でも全然気づかなかった。


「左足も同じところが少しだけ擦りむけています。あのまま2回目も踊れば、きっとこちらも靴擦れしていたでしょう」


それがわかっていたから、あのとき昴くんは止めてくれたんだ。


靴擦れなんてたいしたケガじゃないのに――。

昴くんはまるでガラス細工を扱うかのように、わたしの右足をそっと持ち上げてやさしく手当てしてくれた。


「消毒をいたします」

「絆創膏を貼ります」