それに合わせて、虹斗くんが右へ左へと滑らかに揺れる。

わたしは足元を見ながら、なんとかステップについていく。


「アリスちゃん、こっち見て」


ふとそんな声が聞こえたから顔を上げると、虹斗くんの顔が間近にあって思わずドキッとする。


「下ばっか見られると悲しいな。ぼくを見てよ」


そうとは言われても、わたしはステップを合わせるのに必死で、虹斗くんを見ている余裕なんてない。

それに、虹斗くんに見つめられたら、まるでその瞳に吸い込まれそうな感覚に陥る。


虹斗くんの瞳…、きれいだな。


そんなことを考えながら踊っていたら、いつの間にか曲が終わっていた。


「…あれ?」


もしかして、なんとか乗り切れた感じ…?


「アリスちゃん、さすがだね!上手だったよ」

「やめて…虹斗くん、恥ずかしいよ。久々だったから、うまく踊れなくて…」