ひざまずく虹斗くんに、手の甲にキスされるわたし。

それを見た周りからは黄色い声が沸き立つ。


「キャ〜!なんて紳士的…!」

「素敵!あんなふうに誘われてみたい」

「さすが、イージスの虹斗様!」


わたしは羨望のまなざしを向けられながら、虹斗くんにエスコートされて体育館の中央へ。


「もしかしてアリスちゃん、緊張してる?」


たじたじしているわたしを見て、虹斗くんがクスッと笑う。


緊張というか、そもそもどうしたらいいのかわからない…!


そんなわたしの右手を虹斗くんがやさしく握る。


「アリスちゃん、左手をぼくの背中に。早くしないと始まっちゃうよ?」

「…え、あ…うんっ」


こうなったら覚悟を決めるしかないと思い、わたしは見様見真似で虹斗くんの背中に手をまわす。


流れるクラシック曲。