わたしも家事はおばあちゃん家でしていたほうだけど、わたしがすすぐよりも昴くんがスポンジでお皿を洗うほうが速い。


すべての食器を洗い終わった昴くんは、今度はわたしといっしょに残った食器を水ですすいでくれていた。


――そのとき。


「あっ…」


最後に残ったマグカップに手を伸ばしたとき、偶然にも昴くんの手と触れた。

思わず、同時に手を引っ込める。


「…失礼いたしました」

「な、なんかごめんね…!」


結局、最後のそのマグカップは昴くんがすすいでくれた。


わたしはというと、昴くんの大きな手に触れてから…心臓のバクバクが止まらずに頬を赤くして固まってしまっていた。


昴くんは何事もなかったかのように手を拭いている。


…どうやら、意識してしまっているのはわたしだけのようだ。