そのリビングにはドアが4つあり、それがわたしたちそれぞれの個人部屋だ。


…本当にわたし、この3人といっしょにここで住むんだ。


想像もつかない同居生活に、わたしはごくりとつばを飲む。


「アリス様!さっそく夕食のお時間についてですが――」


そう言って、ソファに遠慮がちに座っていたわたしのところへやってきたのは虹斗くん。


「…ねぇ。そろそろ、その呼び方やめてくれないかな?」

「“その呼び方”…といいますと?」


キョトンとして首をかしげる虹斗くん。


「わたしに対しての敬語と、“様”をつけて呼ぶのをやめてもらいたいんだけど…」


同じ中学生なのに、敬語で話されたらなんだか歯がゆい。


たしかに、アリスちゃんはすごいお家のお嬢様。

だけど、ここにいるのは庶民のわたしだから、“様”をつけて呼ばれるような人間じゃない。