そして、上級生を敬うという年功序列ではなく、各家の財力によってカーストが決まる。

わたしはそんな競争には巻き込まれず、入れ替わっていることがバレないようにひっそりと過ごしたかったのに――。


この学校でのカーストの最上位に立つのが、…なんとわたしだった!


というのも、やはりアリスちゃんの家はとんでもないお金持ちのよう。

1限が終わるころにはアリスちゃんの素性が調べ上げられていて、それにより学校一お金持ちのお嬢様だという噂が広まっていた。


わたしが廊下を歩くだけで周りにいる生徒たちは端に寄り、ペアといっしょにお辞儀する。


「あ…あの、普通にしてもらえますか?わざわざ頭を下げなくてもっ…」

「いえ、これが当然の礼儀ですわ。佐藤財閥さまには、父の会社も大変お世話になっておりますので」