わたしは、日本生まれ日本育ちの平凡な庶民です。


「佐藤さん、あいさつをお願いします」

「は、はい…!佐藤アリスです、どうぞよろしくお願いします」


ここでは、わたしはアリスちゃんの代わり。

失礼のないように、深々と頭を下げる。


きっと第一印象は無難なところだろう。

これで、嫌に思う人なんていないはず――。


「…なんなの、あのコ」


ふと、そんな声がかすかに聞こえた。


「1人に対して、3人の護衛なんてありえない!」

「しかも、それがイージスってどういうこと…!?」

「そんなに特別な生徒なのかしら?どう見たって、ただの庶民にしか見えないけど」


女の子たちの鋭い視線が一斉にわたしに突き刺さる。


“庶民”というのは…正解だ。

やっぱり、本物のお嬢様とはまとっているオーラが違うのだろうか。