…結局、別人だとは言い出すことができなかった。


わたしが着る星乃川学園の制服は、薄いグレーのワンピースタイプの制服。

セーラー服のような形の襟で、胸元には桜色のリボンがついている。


だれもが憧れる制服だけど、今のわたしは緊張で全然喜べる気分じゃない。



いよいよ星乃川学園に到着。


「お待ちしておりましたよ、佐藤様!」


校門で出迎えてくれたのは、一昨日に会食した理事長のおじさん。

そのままわたしたちは理事長室へ。


「ご覧になられたとおり、この前もお話しましたが、女子生徒1人につきエスコート科の男子生徒が1人つくという制度で――」


エスコート科の男子生徒たちはボディガードの見習いでもあるけど、同時に執事の教育も受けているのだとか。


わたしが着ているものと同じ制服を着た女子生徒たちはみんな、スーツのような黒い制服姿の男の子とペアで歩いていた。