「これはこれは、佐藤社長」


アリスちゃんパパとおじさんは親しそうに握手を交わす。


「やあ、キミがアリスさんだね?」

「…はっ、はい!」


わたしは緊張で声が上ずる。


「かわいらしいお嬢さんじゃないですか」

「フフフッ、目に入れても痛くない自慢の娘です」


アリスちゃんの話になって、表情がゆるみっぱなしのアリスちゃんパパ。

アリスちゃんを溺愛しているということがものすごく伝わってくる。


席に着くとドリンクで乾杯して、さっそく料理が運ばれてきた。


前菜の上に、黒い小さなつぶつぶがたくさん乗っている。


「…なにこれ?」


わたしが小さなひとり言をつぶやきながらお皿をのぞき込んでいると、隣にいたアリスちゃんパパが首をかしげる。


「アリス?キャビアがどうかしたか?」