アリスちゃんは星乃川学園の交換留学期間が終わって、明日アメリカへ帰る。


わたしはというと、また『佐藤ありす』に戻って平凡な生活を送ることとなる。

もう星乃川学園の生徒じゃない。


――まるで夢みたいな時間だった。


だれもが憧れるセレブ学校の星乃川学園に通って、エリート警護部隊『イージス』に護衛されることになって。

しかも、その『イージス』のメンバーの中にわたしの初恋の人がいて、想いを通わせることができて――。


だけど、その魔法も今日で解ける。


「ありすがもとの学校に戻ったって、俺たちの関係が終わるわけじゃない」

「…うん!そうだね」


わたしは昴くんに笑ってみせた。

本当は寂しいという気持ちは隠して。



――アリスちゃんと間違われて攫われた、わたしの誘拐事件。