そのとき、1人の拳が昴くんの顔面に直撃した。


「…昴くん!」


はっとして、心臓が止まるかと思った。


「大丈夫…。直前で防いだから」


昴くんは顔の前で腕を交差させて、さっきのパンチをガードしたようだ。


…よかった。


だけど、こんな戦い見てられない。


「…もうやめて!こんなことやったって無意味だよ!」

「無意味なんかじゃない!オレたちには、佐藤アリスが必要なんだっ!」

「そうだ!だから、このガキはなんとしてでもここで追い払わねぇと!」

「あんたはそこで黙ってろ!」


…そんな。


「昴くんもやめて…!」

「ありすを素直に返してくれないのなら、力づくで奪い返すまで」


わたしを背中にして守ってくれる昴くん。


うれしいけど、ケガをする昴くんは…見たくない。