話を聞いていて、胸が締めつけられた。

世の中にはこんなにもつらい思いをしている人がいるのかと思ったら。


「わたしが…なにか力になってあげられたらいいんですけど」

「だから、あんたを引き渡すための身代金が必要で――」

「さっきも言いましたけど、わたし本当にアリスちゃんじゃないんです…!」

「その嘘はもう聞き飽きたぞっ」


あ〜…、もう。

どうしたらわかってもらえるんだろう。


ここに本物のアリスちゃんがきてくれたら、わたしが別人だってことが証明されるんだけど…。

そんなことできるわけがないし。


なにかいいアイディアはないかと考えをめぐらせていたとき――。


ガンッ!ガンッ!!


突然、この薄暗い部屋の鉄扉からけたたましい音が響いてきた。

その音に驚いて3人は身構える。