「ですから、“アリス”様ですよね?」

「…ち、違うんです!わたしは別人で――」


チラッと目を向けると、アリスちゃんはおばあちゃんの背中の後ろに隠れていた。

そして、こちらの様子を見ながらわたしにヒラヒラと手を振っている。


「アリス様、我々をからかうのはおやめください」

「ですから――」


いくら「アリスちゃんではない」と言っても、アリスちゃんとそっくりなわたしの話を真剣に聞いてはもらえなかった。


そうしてわたしは、お店の外の道路に横づけされていたリムジンへと乗せられたのだった。