「もしかして、…男?」


顔を向けると、昴くんがわたしを見つめていた。


「…ち、違うよ!昴くんがいるっていうのに、他にだれかいるわけないじゃん…!」


わたしが必死に弁解すると、昴くんの口角が上がる。


「わかってるよ、そんなこと。ちょっとからかってみたくなっただけ」


そう言って、昴くんは余裕の笑みを浮かべた。


「それよりも大事な電話なんだろ?俺たちはここで待ってから、早く出てこいよ」

「ありがとう…!」


わたしはスマホを握りしめて、みんなから離れた。

校門の手前までやってきて、スマホの通話ボタンをタップする。


〈やっほ〜!ありすちゃん〉


思ったとおり、電話の相手はアリスちゃんだった。


〈今日が最後だったんだよね?〉

「そうだよ。バレないように…いろいろと大変だったんだから」