「アリス様、そろそろお時間です。さっ、行きましょう」

「行くって…、どこにですか?」

「このあとに、大事な会食が控えています!朝にご説明したと思いますが」


と言われても、それ…わたしじゃないし。


「ご準備もあるので、そろそろ向かわねばなりません」

「…えっと。でもわたし、みなさんがお探しのアリスちゃんではないので…」


それを聞いた黒スーツの男の人たちは、一瞬キョトンとした顔を見せた。

そして、すぐにクスクスと笑い出す。


「なにを言っているのですか、アリス様」

「どこからどう見てもアリス様ではありませんか!見間違うほうが難しいです」


…そうだった!

今わたしは、アリスちゃんの服を着ているんだった…!


「アリス様、どうぞこちらへ」

「…待ってください!“アリス”といっても、わたしは“ありす”でっ――」