「…そうだったんだ!まさか…あの告白も嘘だったとは」

「驚かせてごめんね、アリスちゃん。でもああしないと、きっと昴出てこなかっただろうから」


図星なのか、気まずそうに視線をそらす昴くん。


真剣に告白されたと思ったから、慎太郎くんを傷つけないようにどうお断りしようか困っていたけど…。

嘘だったのなら…少し安心した。


それにしては…、嘘とは思えないような真面目な表情だったけど――。


「じゃあ、オレは先に帰るよ。あとは2人仲よくね」


慎太郎くんは、昴くんとわたしの肩をぽんぽんと軽くたたくと行ってしまった。

わたしは、慎太郎くんの後ろ姿を見届ける。


「実は、あの告白はマジだった…なんて、今さら言えるわけないよ。昴に抱きしめられるアリスちゃんの…あんな顔見たら」


そんな慎太郎くんの小さなひとり言がわたしに聞こえることはなかった。