「好きだよ、アリスちゃん」


返事に困るわたしに、慎太郎くんはさらに甘い言葉をささやく。


「オレならアリスちゃんを大切にする自信がある。女の子好きの虹斗や無愛想な昴よりもずっとずっと」

「…えっと、わたしは――」


言葉に迷っていた、――そのとき。


「ありすはだれにも渡さない!」


突然そんな声が聞こえたと思ったら、手首を握られて抱き寄せられた。

気づいたときには、すでにわたしはだれかの腕の中にいた。


顔を上げると、黒髪の前髪から見え隠れする切れ長の目で慎太郎を睨みつける…凛々しいくらいに整った横顔。


そう。

それは、昴くんだった!


「…昴くん!」


昴くんには、『絶対に絶対についてきちゃダメ』と伝えていたはずなのに――。


「昴…!なんでここにっ。それに、『だれにも渡さない』ってなんだよ」