『それでアリス様になにかあったら――』

『そうなったら、ボディガードの昴くんが助けてくれるんだよね?』


さっき部屋ではああ言ったけど、本当に助けてもらうことになるとは…。


「あ…ありがとう」

「いえ、何事もなくてよかったです」


昴くんがわたしの体を起こしてくれる。


「また同じようなことがあってはいけませんで、そろそろ岸に戻りましょう」

「そ、そうだね…!」


昴くんはオールを握り、桟橋へと向かって漕ぎ始める。


ボートの上で昴くんに覆いかぶされたとき――。

キスされるんじゃないかと思うくらい、顔が…近かった。


でも昴くん…、わたしに人工呼吸をしてくれたんだよね?

さっきみたいに、あんな真剣な顔をして…?


…そうだ。

そういえば――。


『…ありす!…ありすっ!!』